これはもう、私が一番好きな漫画かも知れません。

マイク・ミニョーラの「HELL BOY」

映画? ええと、何の事でしょう?

アメコミですよ、アメコミ。

映画とか、そういう話は忘れましょう。ねっ?

とにかく、第一に絵がすばらしい!

アメコミの絵と言うと、筋肉ムキムキの全身タイツのおっちゃんを想像しますが、そんなんじゃありません!

むしろ影絵に近い、コントラストが強い絵柄です。

ほぼ赤と黒で書かれた感じですね。日本人の好みに合う絵だと思います。

そして、設定が面白い。

主人公 HELL BOY は人間のヒーローではありません。

なんと「悪魔」です。(しかもプリンスらしい)

第2次大戦末期、ナチス・ドイツの「ラグナロク計画」を急襲した連合軍特殊チームは、ナチの科学者が召還に成功した悪魔を発見する。

驚くべき事に、それは悪魔の幼児らしく、計画責任者のブルッテンホルム教授は、「彼」を引き取って「育てる」決断をする。

というワケで、人里離れたメキシコの米軍基地で、超常現象の大家を父がわりに、超人的な運動能力を持つ「ヒーロー」を兄がわりに、ほぼ人間として彼は育てられます。

人間のメンタリティを持つ「悪魔」が、長じて「超常現象調査局」のエージェントとなり、ロシアの魔女バーバ・ヤーガだの、狼男だの、日本の「抜け首」だのと壮絶な戦いを繰り広げる・・・というのがストーリーです。

それから、是非、書かなければならない点。

彼は出自がこうですから、いくら人類の為に闘っても、人類の一員とはなれないワケです。しかし、それでも彼は数少ない友人、同僚、同情すべき境遇の人々の為に豪腕を振るい、巨大なハンドガンをぶっ放し、日夜闘っているワケですが・・・どうも彼自身の性格なのか、どこかコミカルで、「辛気臭さ」が無いワケです。

モンスターと死闘を繰り広げているシーンでも、読んでて笑ってしまったり、とか・・・。

小説版など読むと顕著なのですが、結局彼は「ニューヨーカー」なのだろうな、という気がして、ちょっと可笑しくなりますね。